会話型 UX の特性

ユーザーのアプリケーション学習の容易さ

会話型 UX では、ユーザーはこれまでの複雑な UI のルールを覚える必要がなくなります。 例えば、クリエイティブツールのように操作の種類が多いアプリケーションの場合は、 自然言語による操作の恩恵を受けることができます。

自然言語による入力

会話型 UX を採用したアプリケーションは、ユーザーからの入力として、あらゆる自然言語によるメッセージ(プロンプト)を想定しなければなりません。

ユーザーの入力の時点でバリデーションを行うことは難しいと思われます。 これは、自然言語のメッセージのパターンは無数に存在することに由来します。 これらの入力は、従来のアプリケーションの入力とは異なり、単語やキーワードでなく、選択式でもありません。

また、アプリケーションが入力を処理可能かどうかは、実際に言語モデルがプロンプトを解釈するまで知り得ません。

よって、会話型 UX でのユーザーの入力のパターンはほとんど無限であると考えて良いでしょう。

ユーザーのアプリケーション学習の難しさ

ユーザーが会話型 UX のアプリケーションの操作方法について学習する機会は、従来のものよりも限られています。 これは、UI の基本構成がプロンプトの入力欄だけであり、これまでのようにボタンやメニューの利用が限定的になるからです。

また、会話型 UX の歴史がまだ十分に長くないことから、ユーザーはこの体験に不慣れです。このことは学習をより丁寧に行わないとユーザーは迷子になってしまう可能性があることを意味します。

Bing AI はプロンプトの候補をひとつ前のアシスタントのメッセージの直後に提示しています。これは、アプリケーションの利用方法についてユーザーを補助する手段のひとつです。

これらの学習補助の方法については後ほど解説しますが、ここでは、ユーザーのアプリケーションについての学習の機会が少ないことと、まだ十分に慣れていないことのみ触れておきます。

ユーザーの AI への期待

ユーザーはまだ言語モデルの特性を十分に理解していない可能性があります。 言語モデルを処理系の中心に据えたアプリケーションは、何が可能で何が不可能なのか、ユーザーは想像がついていない場合があり、言語モデルの能力を過大に予測していることも考えられます。 例えば、人間の言葉と意図と、指示を完全に理解し、実現できる能力があると錯覚したり、現実世界のリアルタイムの状況を完全に把握しているといった錯覚をする可能性は十分に高いです。

会話型 UX の課題

ユーザーの自由度が高すぎる

会話型 UX が登場してからしばらく経ちましたが、ユーザーの利用量や利用方法の幅はまだまだ差があるように感じます。 上手く使いこなしている人たちがいる一方で、どう使ったらいいのか分からない人たちが相当数いると思います。 これは会話型 UX の入力の自由度が高すぎるという特性上、仕方のない問題です。

先述した通り会話型 UX の入力は自然言語であるため、何ができて、何ができないのか、分からないまま、途方に暮れてしまうということは考えられます。

ユーザーの期待を裏切る可能性

会話型 UX の特性を踏まえると、これらのアプリケーションでは、「なんだこれはできないのか」でユーザーが離脱てしまう可能性と常に隣り合わせになります。 例えば、たとえ ChatGPT であってもそのような現象が起きるのをよく目にします。 例えば、現在の天気を聞いたり、知人についての情報を聞いたりして、期待通りでない返答が返ってきたりします。

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